6年間のブライダル業界経験や採用責任者をしていた経験を元に、ブライダル業界に特化した「就活・転職・プランナーのスキルアップ」に関する情報発信を行っています。
ウェディングプランナーとしてのプロデュース実績はコチラの記事をご覧ください。
皆さんは「営業」と聞いて、どんな姿が頭に浮かびますか?
「ノルマに追われて、頭を抱えてる月末のサラリーマン…」
「どうすれば売れるのかばかり考えて、夢にまで出てきて大変そう…」
「お客さんにヘコヘコ頭を下げて、1日中飛び込み営業をする… 」
このようなネガティブなイメージが思い浮かんだ人も多いのではないでしょうか?
実は、7年前に社会人になったばかりの私自身も、このようなイメージを持っていました。
実際に、「ブライダルフェア」といって結婚式場を見学しにきたお客様に式場の営業をしていた頃は「営業、向いてないな」と思っていました。
事実、35%前後の成約率が平均であるところ、私は13%という低すぎる成約率を叩き出すほど使い物にならないダメ社員でした。。
それもそのはず。私は「営業」を180度、誤解をしていたのです。
この記事では、かつての私のように「営業」に対して苦手意識やネガティブなイメージをお持ちの方に向けて書きました。
今現在、営業成績が芳しくないブライダル業界人や、これから社会に出るにあたり不安な思いを抱いている方へ。
この記事を最後までお読みいただければ、きっと営業に対する印象がポジティブなものに変わっているハズです。
誰かにとって、現状を変えるキッカケになると嬉しいです。
目次
1.ブライダルの営業は2種類に分類できる
一括りに営業といっても、ブライダルにおける営業(セールス)は2種類に分けられます。
▼1.1 結婚式場をセールスする
ブライダルフェアに参加したカップル様をご案内し、自会場にご成約していただくことがゴールです。
会社によって呼称は異なりますが「新規接客」と呼ぶことが多いです。
新郎新婦と「はじめまして」からスタートし、約3時間前後のご案内で成約まで導きます。
※見積相談などで再来館することもあります。
【 新規接客のセールス特徴 】
(1)関係性:新規顧客
(2)提案物:無形商材(結婚式)
(3)金額:高額
新規顧客に対し、高額かつ無形商材を提案していくため「ハードルが高く、目標達成が難しい」と感じる方もいらっしゃいます。
冒頭で述べた成約率13%時代の私は、この新規接客がたまらなくイヤでした。
▼1.2 結婚式の必要なアイテムをセールスする
ご成約後のカップル様に対して、料理や写真、映像など結婚式に必要となるアイテムをセールスしていきます。
「ウェディングプランナー」と聞いて多くの人がイメージする姿が、これにあたります。
一般的に打合せ期間は3〜6ヶ月ほどで、準備状況の進捗管理などをしつつ商品やサービスを提案していきます。
【ウェディングプランナーのセールス特徴】
(1)関係性:既存顧客
(2)提案物:無形有形の両方
(3)金額:商品によって様々
新規接客と比べ、お客様との信頼関係を構築しやすく金額も安くはなりますが、お客様と長い付き合いになる分、また違った悩みを抱えるのが特徴です。
「結婚式という夢のある提案をする反面、現実的な売上ノルマを追わなくちゃ。お客様から『ガンガン営業してくるプランナー』って思われてないか不安」
ウェディングプランナーになりたての頃の私がまさにこのような状態でした。
この頃の私はまだ、営業の本質理解ができてなかったんですね。
ブライダルセールスの2つの違いを理解したら、次は「営業の正体」を丁寧に解説していきます。
2.営業の正体
結論、営業とは「お客様のお困りごとを解決すること」です。
もしかしたら、キレイゴトに聞こえる人もいらっしゃるかもしれませんね。
私自身、「成約してもらおう」という気持ちが「お困りごとを解決しよう」に変わったことで、営業成績が劇的に変わったのです。
その理由をご説明します。
▼2.1 営業活動の目的
そもそも私たち何のために「営業」を行うのでしょうか?
結論それは「買ってもらうため」です。
「買ってもらえる」ということは、裏を返せば「そこにニーズがある」ということです。
いわゆる需要と供給です。
では次に、人はなぜ、物やサービスを欲しいと思うのでしょうか?
その理由は「現状に何らかの不満や不安があるから」です。
▼2.2 ビジネスの基本は”不”の解消
新商品の開発やTVCMやネットでの広告宣伝、そして営業活動など。
これらビジネスを行う上で最も大切なことは「世の中にある”不”に注目すること」です。
ブライダルの場面だと、どのような”不”が存在するでしょうか?
「結婚式をしたいけど、どの式場ですればいいか分からない」(不安)
「理想の結婚式イメージはある。でも自分たちだけでは作れない」(不満)
「式場HPだけではイメージがつかないからブライダルフェアに参加する」(不足)
これらの”不”を解消するために、新規接客を行うスタッフやウェディングプランナーが存在しています。
お客様は何らかの不安や不満、不足といったお困りごとを抱えています。
つまり営業の正体とは、お客様のお困りごとを解決すること。
▼2.3 ”不”の解消の先にあるものは?
初めて来た土地で迷子になってしまった…。
もしあなたがそのような状況にいたとして、たまたま通りかかった人が親切に道案内をしてくれたとしたら、あなたはその方に何と伝えますか?
「ありがとう」
あなたが悪魔のような心の持ち主でない限り、きっと感謝の気持ちを伝えるはずです(笑)
つまり、”不”を解消すること=誰かに感謝されるアクションをしたということ。
本来営業とは「誰かに『ありがとう』と言われる仕事」であることがご理解いただけましたでしょうか?
「理屈はわかった。でもそれだけで簡単に売れるようになるはずがない」
そんなお声も聞こえてきそうです。
最後に、私自身が「成約してもらおう」という気持ちから「お困りごとを解決しよう」に変わったことで
具体的に何が変わり、営業成績が変わったのかをご紹介します。
3.「売る」のではなく、「信用される」ことに主眼を置いた
これは、新規接客をし始めて約6ヶ月が経った頃、成約率が20%前半だったころの話です。
▼3.1 「信用されていない」と気づかされたお客様の”ある言葉”
半年間、結果が出ないなりに試行錯誤しながら接客をしていたある日。
1組のカップル様のご案内が2/3ほど終わったタイミングで、「式場を見てみて、いかがでしたか?」と何気なくご質問をしました。
それまでの会話がとても盛り上がっていたので、内心手応えがありました。
すると新婦様から「男性が好きそうな会場ですね」と一言。
私はこの新婦様の一言で、ハッとさせられました。
「目の前のおふたりのことを、自分は何も見れてなかった」と。
私は全て自分の主観で会場案内をしてしまっていました。
男性である自分目線で式場案内をした結果、新婦様は「男性が好きそうな会場。女性はそんなこと求めてないし、知りたい情報が聞けない。」と思ったハズです。
案の定、こちらのカップル様は他の会場様で結婚式をすることなりました。
自分自身の不甲斐なさを感じる以上に、お客様にムダな時間を過ごさせてしまったこと。
そしてこれまでのお客様にも同様の思いをさせてしまったんじゃないかと思い、「このままじゃいけない」と強い危機感を覚えました。
そこで私は、こちらの新婦様から「最後まで信用してもらえなかった理由は何か?」を徹底的に考え、イチから接客を見直すことにしました。
営業成績はここからガラッと変わりました。
13%の成約率が、39%へと大幅に上がったのです。
営業成績を変えたい、営業にネガティブイメージ を持っていると言う人は、「信用」について深く考えてみてください。
それだけで必ず、営業にまつわる全てのことが大きく変わり始めます。
▼3.2 人はどんな人を「信用できる」と思うのか
学生様はブライダルの現場で実際にセールスをしたことがため、なぜ「営業にとって、信用が大切か」についてイメージしづらいと思います。
なので、日常の身近な出来事を例に、1つご質問をします。
あなたには誰にも打ち明けられない悩みがあったとして。
その悩みを打ち明けるなら、どんな人なら話せると思いますか?
逆に、どんな人には話せないと思いますか?
あなたは今、どんな人を思い浮かべましたか?
きっとその答えが「信用できる人」であり、営業マンにとって必要な力です。
世の中の”不”を解決することがビジネスであると前述しました。
”不”とはイコール、悩みです。悩みを抱える人は内心、このような思いを抱えています。
「金額がちょっと高いけど、値引いて欲しいなんて言ったらどう思われるかな…」
「結婚式のこと、何も知らないって言うの恥ずかしいな…」
「この質問、常識知らずかな?もっと詳しく聞きたいけど…」
要するに、それら胸の内を「打ち明けても良い人だ」と信用されるか否かが営業の全てなのです。
なぜなら、お客様の核心的な”不”の部分に近づくことができるからです。
最後に、「信用できる人」の特徴を大きく3つに分けて、整理しましょう。
▼3.3 「守る」「与える」「自責の心」
今から信用できる人として、最低限のマインドセットを整理します。
《 守る 》
時間を守る
約束を守る
言葉に一貫性がある
《 与える 》
他者の話をきちんと訊こうとする
他者の気持ちを汲み取ろうとする
他者を理解しようとする
《 自責の心 》
自分の行動による結果は、全て自分に責任があると考える
当然、これら全てを常に実行できないといけないわけではありません。
最も大切なポイントは「自分でコントロールできることを大切にすること」です。
約束の時間や人との約束を守る。これは自分自身の意識次第ですよね。
逆に、自分1人ではどうすることもできない「職場環境やそこで働く人」のことをいつまでも愚痴っている人の近くにいたらどうですか?
疲れるはずです。いずれ、「長く一緒にいるのはシンドイ」と思うはずです。
アンコントローラブル(自分ではどうにもできない)な物事に執着せず、コントロールできる範囲に注力する人間。
この「守る」「与える」「自責の心」という3つの要素。
これを意識するだけで、あなた自身が「信用される人」に変わるはずです。
私は、これらを意識して少しずつ、少しずつ自分を変えていき、営業成績を変えていきました。
騙されたと思って、信じてやってみてください。
4.まとめ
最後に、当記事の内容をまとめます。
・ブライダルセールスは2つに分類できる
(1)結婚式場のセールス
(2)結婚式に必要なアイテムのセールス
・ビジネスとは「世の中の”不”を解消すること」
・営業とは「お困りごとを解決する」こと
・つまり営業とは「感謝される仕事」
・売れる営業マン=信用できる人
・「守る・与える・自責の心」信用される条件
かつての私のように、営業活動に苦戦している方や、苦手意識から就職することに不安がある方はまずは時間を守ることや、人との約束を守ることから始めてみてください。
渋滞に巻き込まれた時、イライラするのではなく「この時間を有意義に使うには?」と思考するクセをつけてみてください。
失敗した時、それを何かのせいにするのではなく「何が原因だったのか?どうすれば改善できるのか?」と生産的に考えられる習慣をつけてみてください。
営業とは、人の困りごとを解決し、「ありがとう」がもらえる仕事です。
しかし実はそれだけじゃなく、自分の人間性を高めることができる機会でもあるのです。
私はその事実に気づいてから、人生が好転していきました。
なぜなら、毎日を過ごす中で起きる出来事を、生産的に捉えることができるようになったからです。
営業テクニックを覚えようとする前に、是非「信用される人」としての基本的な要件を自分が満たしているか?を考えてみてください。